“【連載第一回】京大新聞の百年 | 京都大学新聞社/Kyoto University Press”
【連載第一回】京大新聞の百年 | 京都大学新聞社/Kyoto University Press Source 京大新聞の卒業生が「京大新聞史編集委員会」を組織し、関係各氏から原稿を集めて出版(草思社/1990年4月/1600円) 京大新聞は2025年4月に創刊100周年を迎える。節目に向け、その歴史を振り返る特集を今号から十数回にわたり連載する。時系列で振り返る「通史」は、1990年に出版された書籍『権力にアカンベエ!京都大学新聞の六五年』から大部分を転載して再構成する。このほか、実際の紙面から編集体制や紙面内容の変遷を書きとめ、コラムで視点を補う。各時代にどういう背景のもと何を大切にしてきたのかを見出すことで、今後の紙面づくりに活かすとともに、報道、出版、文芸、教育、学生運動など各方面の歴史を考える際の一助となることを期待する。連載初回は、1925年の創刊から29年ごろまでを取り上げる。(編集部) 通史:創刊〜新聞部事件(1925〜1929) 全国で7番目の大学新聞 京都帝国大学新聞は1925年4月に創刊された。大学創設から28年後のことである。 日本の大学新聞は、大正の半ばから相次いで誕生した。1917年5月の慶應義塾大学『三田新聞』を皮切りに、東京帝国大、日本大、早稲田大、明治大、大谷大で次々と創刊され、京都帝国大は7番目にあたる。 創刊のきっかけは、京大と東大のスポーツ交流をめぐる報道だった。両大学の間では、柔道、剣道、陸上競技など学友会の各運動部が毎年交互に訪問し、一週間ほど対抗戦を繰り広げる「運動週間」が恒例となっていた。東大を京都に迎える年だった1924年、東大の帝国大学新聞が運動週間中に部員を派遣して京都の印刷所から新聞を発行するといううわさが伝わった。前年の東京での運動週間で帝国大学新聞の活躍を目の当たりにしていた学友会の学生委員はこの話に驚き、「京大にも新聞を」と学生監(現在の学生担当理事にあたる)の花田大五郎に働きかけた。朝日新聞や読売新聞で勤務経験のあった花田は、各部の要請に応じ、さっそく新聞を発行することにした。当時、寄宿舎にいる各学部学生で構成されていた学友会雑誌部の部員を編集委員